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父のピアノが好きじゃなかった。

5歳からバイオリンを始めた。


毎週レッスンがあって課題が出されるから、夕飯の後、父と一緒に取り組んでいた。


父は、ピアノ弾きたい症候群だから、夕飯なんかさっさと食べ終えて、2階でピアノを弾き始める。


僕と一緒にバイオリンの練習をする前の時間を、自分のピアノの練習の時間に充てていたのだ。


そのピアノの音は、いつしか、僕のバイオリンの練習開始の合図のように聞こえるようになった。


バイオリンを弾きたい気分じゃないときは、2階からのピアノの音を聞いて「これから練習かぁ、マジかぁ」といつも思っていた。


それでも、練習をしないと父に遠回しに怒られるから、仕方なく、父がピアノを弾きながら待つ部屋へ、重い足を運んだ。


気分が乗らない時や課題曲が難しい時って、なかなかうまく弾けないから、延々と同じフレーズを30分から1時間、弾き続ける日もある。


そんな時は、流石に痺れを切らして、泣いたり、不貞腐れたり、バイオリンを放り出したりしていた。


そうすると、父は優しい言葉をかけてくれるわけでもなく、叱責するわけでもなく、淡々と


「できるように神様にお願いするか、できるようになるまで泣くか、

できるようになるまで練習するか、どうする?」


といつも、問いかけてきた。


なんと、逃げ道のない問いかけだろう。


答えは、決まっているから、

不貞腐れて、涙を浮かべながら、バイオリンを弾いた。






この言葉は、僕の座右の銘でもなんでもないけれど、

そういう姿勢みたいなものは、身体に染み付いているような気がする。


うまくいかないこと、思うようにいかないこと、たくさんあるけど、

できるようになるまで、練習してみようと思います。

 
 
 

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